皆さんは、子供の時や学生の頃、水彩画や油彩画などで絵を描いた経験ってありますよね。そして例えば、みかんを描こうとしたとき、橙色の絵具がなかったら、どうしますか?
そう、赤と黄色の絵具を混ぜて橙色を作りますね。このように「色と色と混ぜ合わせて新しい色を作る」ことを混色といいます。そして、自分が欲しいと思った色がないとき、どの色とどの色を混ぜれば自分の欲しい色が得られるかがわかると、とても便利なんですよね。
昔、トールペイントをしている生徒さんがこの混色の理論を知らなくて、自分の欲しい色がないとき、そのつどその色を買っていたそうですが、この混色の理論がわかることで、最低限の色があれば、それを混色することでいろいろな色を作ることができるようになる!といって喜んでいました。
また、混色には、絵具などのように色材を混ぜてつくる混色と、光の色を混ぜて作る混色がありますが、色材を混ぜて作る混色と、光の色を混ぜて作る混色は、混色の原理が違うので、それぞれ整理して覚える必要があります。
また混色は、色と色を物理的に混ぜ合わせる混色と、あまりにも細かすぎたり、動きが速すぎて、眼の中で勝手に混色してその色を知覚する混色があるので、
それぞれの違いを整理して理解することが大切になります。
色材の混色と色光の混色では、混色のルールが違うので、それぞれ整理して覚えましょう!
混色とは
混色…色と色を混ぜ合わせて別の色を作ること。減法混色と加法混色にわけることができる。
・減法混色…もとの色より暗い別の色になる混色
・加法混色…もとの色より明るい別の色になる混色
→加法混色には物理的に混ぜ合わせて混色する(同時加法混色)と、眼の中で混色する(継時加法黒色・併置加法混色)がある。
加法混色としてまとまっていますが、実際に混色する同時加法混色と眼の中で混色される混色と分けて考えると理解しやすくなります。
実際に色を混ぜる混色について
実際に色を混色する場合、色材を混色する減法混色と、光を混色する同時加法混色の2種類があります。
混色で覚えることは、同時加法混色、減法混色をそれぞれ整理してそれぞれの意味、三原色(色名、色相番号、色相環上の位置)、混色結果を理解することが大切です。
減法混色の例は、水彩画を描く時のパレットやバケツの色を考えてください。作品が出来上がるほど、パレットや絵筆を洗うバケツの色が暗く濁って黒に近いような色になりますね。このように元の色より暗くなる混色が減法混色になります。
逆に光は1個より2個、2個より3個と数が多いほど明るくなりますよね。そのようにエネルギーが加算される混色が加法混色です。
混色結果を覚えるとき、この色相環上で覚えると便利です。例えば、黄色(Y=8番)とシアン(C=16番)の混色結果は、2色の間にある緑(G=12番)となるので、「混色するそれぞれの色の位置の間にある色」と覚えると覚えやすいですね。
同時加法混色の原色(R・G・B)を色光の三原色、また減法混色の原色(Y・C・M)を色料の三原色といいます。
眼の中で色が混ざる混色
例えば、風車など止まっているときは羽の色がわかりますが、風が吹き高速で回転すると、眼が速さに追いつかないので羽の色1枚1枚は分からず、羽の色が混ざって見えたり、また布地など、あまりにも糸が細かすぎるとこちらもその細さに目がついていけず混ざって色が見えます。
このように、早すぎたり、面積が細かすぎるなど、眼で判別できないときに混色して見える例が2つあります。
併置加法混色
・異なる小さな色の点を高密度で並べ、距離を置いてみた場合に、混色した一つの色に見えるような混色
・混色された結果が元の色の中間の明るさになる。→例)モザイク画、点描画
新・印象派に分類されるスーラの点描画はとても有名です。モネなどで有名な印象派から始まった「光を描く」という挑戦は、絵具による減法混色の宿命を逃れることが出来ませんでしたが、この時期発見された光学的理論を取り入れて「筆触分割」技法をすすめ、絵具を実際には混ぜず、見る人の眼のなかで混色させることで画面を暗くしない、という技法にまでたどりつきました。
継時加法混色(回転混色)
・色の時間的な変化が速いため、各々の色を見分けられなくなり、一つの色に見える混色
・混色された結果はもとの色の中間の明るさになる→例)回転混色版、駒
混色の応用例
混色は私たちの日常の中で様々な形で使われています。具体的な事例とどの混色が関わっているかを整理して理解しましょう。
カラーテレビやパソコンのモニタはこのR・G・Bの三原色をそれぞれ発行させることで色を再現しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 よく「パソコンで作成されたものを紙に印刷すると色が違ってしまう」なんていうことがよくあると思いますが、パソコンの画面は、もちろん色光の混色なので同時加法混色ですが、印刷は減法混色になるので、混色のルールが違うため、まったく同じ色にするのは難しくなります。そして、色光では再現できる色が、印刷の色料では再現できない、ということもよくあるので、仕事上での色彩計画(特に会社のCIカラーなどを考えるときは)では、色料で再現できる色かどうかを確認することが大切になります。